与論島・渡嘉敷島等 92

沖縄県渡嘉敷

民話 アカマターと浜下り(はまおり)

昔、アカマター(※1)がきれいな男に化けて、ある家の娘のところに忍んできたらしいですよ。ちょうどそのとき、物知りのお爺さんが、「見なれない男だな。」と思って、節穴から家の中をのぞいてみたら、その男がアカマターだと分かったから、次の日その娘に、「お前のところに毎晩来る男は人間ではないよ。あれはアカマターだから、今晩あの男が来たら苧籠(※2)にいっぱい芭蕉の苧をためておいて、その苧を針にとおしてあの男の頭に刺しなさいよ。」と言ったそうだ。
その晩いつものように男が来ると、この娘はお爺さんが言うとおりに、苧を通 した針を頭に刺したそうですよ。そうすると、その男は芭蕉の苧を引きずって、ずっと遠いグスク山まで行ったらしい。その娘がグスク山(※3)まで後を追って行ったらね、このアカマターは蓬の葉っぱの下に血だらけになってとぐろを巻いていたそうだ。

もうこの娘はアカマターの子を孕んでいたものだからね、困っていると、またそのお爺さんが、「あんたは妊娠しているからね、三月に浜下りをしなさい。浜下り(※4)をして潮だまりを跳んだらアカマターの子は流産するよ。」と教えてくれたので、三月三日に浜下りをするとアカマターの子はみんな流産したらしい。
だから、渡嘉敷島では、三月の節句には、女の子には浜下りと言って、必ずご馳走を持って潮干狩りに行ったら、持ってきたご馳走の中の蓬餅(※5)だけは、女の子が先に食べて、それからあっちこっちの潮だまりを跳ぶことになっているんですよ。

字渡嘉敷 新城ナヲル(明治45年2月1日生) 昭和54年8月26日聴取
※1.アカマター
赤まだらの中型の蛇で、島によっては毒蛇のハブをたべるとも伝えている。
※2.苧籠
苧は紡いだ糸、ここでは芭蕉の繊維を細く裂いて紡いだ糸のこと。苧籠はその紡いだ糸を入れる竹で編んだ籠のこと。
※3.グスク山
渡嘉敷港の入口にある岩山。この山は、渡嘉敷の火の神が祀られており、日照りが続くと雨乞いを行う山でもあった。
※4.浜下り
サングァチ-とも言われ、1年で最も潮の干満の大きい旧暦の三月三日にご馳走を持参して、一日中浜辺で遊ぶ。
※5.蓬餅
蓬の葉を入れて作った餅のこと。蓬は災いを防ぐ力があると信じされている。

シュノーケリング終了

エメラルドグリーン

阿波連ビーチ

白い砂浜とケラマブルーの海が広がる阿波連ビーチは、渡嘉敷島を代表するビーチ

遊泳可能期間:通年可能(自己管理)

設備・サービス:監視員(海開き~10月末)、トイレ、シャワー、キャンプ

アクセス:■渡嘉敷港から 車(一般道)で約 20分